kiyosatoの謎備忘録

探索が苦手な年配夫婦二人の謎備忘録です。

ミステリーが大好き、謎解きは周遊と宿泊謎が中心です。

朗読劇 名探偵金田一耕助『不死蝶』

朗読劇 名探偵金田一耕助『不死蝶』

参加日 :2023/10/28

原作  :横溝正史

脚本  :森本勝海

制作  :回路R

開催場所:アトリエ第Q藝術

ネタバレはありません。
雰囲気バレNGな方はブラウザーをそっと閉じることをお勧めいたします。

珈琲王の養女、鮎川マリがブラジルから来日した。
彼女の母こそ、23年前底無し井戸に身を投げた、鍾乳洞殺人事件の犯人ではないのか?
調査に乗り出した金田一耕助の目の前で再び惨劇が!
引き裂かれた男女、迷路のような鍾乳洞、底なし井戸・・・
金田一と共に謎に挑むマリ。
彼女は真実に辿りつけるのか?

※公式HPより引用

やっと、やっと、回路Rさんの『不死蝶』が上演されました!

リアル公演は2019年の『廃園の鬼』以来です。本当に長かった~。

不死蝶は2020年に本公演として上演する予定でヒロインのオーデションもされていました。しかしコロナで延期になってしまったんですよ(悲)

満を持して朗読劇での上演となりました!発表があった時本当に嬉しかったです。ずーと待っていた不死蝶が観られる!予約初日にすぐにチケットをポチりました。

 

当日、ワクワクしながら会場に向かい、会場入り口で名前を告げて中に入ります。朗読劇なので舞台はとてもシンプルに段になった足場だけです。席は自由なので一番上の席にしました。

 

時間になり開演です。

金田一耕助と百姓の「うし」の会話から物語はスタートします。金田一は長野県のとある村で23年前に起きた矢部家の次男英二の殺人事件の調査を依頼されてその村に向かっています。その村はうしの住む村でいまブラジルから来日している鮎川マリの事が話題になっていると金田一と話をしていたら、満州からの引揚げで同じ村に向かっていると言う古林も話に加わり盛り上がります。

 

村では金田一に捜査依頼した矢部家と並ぶ2大勢力の「玉造家」があり、英二を殺害したと疑われているのが玉造家の娘「朋子」、殺人事件のあった日は矢部家の長男「慎一郎」と駆け落ちをする予定でした。

そして、今回杢衛が金田一に事件の捜査を依頼した理由が、鮎川マリが行方知れずの朋子に生き写しで、そのマリと母の君江も似ていると聞き、英二を殺した朋子は君江なのではないかと疑っての事でした。

 

ある日、村の親睦のためにマリは矢部家、玉造家、村の人々を招待してパーティーを開きます。パーティーの最中マリの母君江が鍾乳洞に向かって歩いていくのが目撃されました。マリは母が夢遊病の発作を起こしていると訴えます。杢衛を始め矢部家と玉造家と金田一で君江を探しに鍾乳洞に向かいます。

みなが分かれて鍾乳洞内を探していると、奥から悲鳴が聞こえました。声のした方に向かうと英二が殺害された底なし井戸の近くで、英二と同じような状態で殺害された遺体が発見されます。

鍾乳洞に入ったはずの君江はそのまま行方が分からなくなります。この殺人は君江の犯行なのか?それとも別の誰かなのだろうか?そしてこの後も連続して殺人事件がおこります。

 

このお話は内容がかなり複雑なんですよね。人間関係や殺害動機だけではなく、殺害現場の鍾乳洞の出入り口についてなど、これをビジュアルなしの朗読劇でどう表現するのかとても興味がありました。

さすが森本さんの台本です。朗読劇なのに村と鍾乳洞の位置関係や複雑な人間関係がスッキリと頭の中に入ってきました。本当にすごいよなぁ。

 

今回は役がどれも濃くて味わいがありました。峯子は目線や口の歪みで性格の強さが表現されているし、ガンポは途中からジーニーにしか見えなくなり、お作はひたすら可愛かった!ちゃんと金田一からお礼がもらえたのか心配になりましたが、お礼をもらっているスピンオフ映像がSNSで流れてきて一安心しました(笑)

高校生由紀子役の日下部さんは以前の作品では大人の落ち着いた女性や、抜け目のないずる賢い女性などを演じていましたが、今回はちゃんと高校生でした!役者さんてやっぱりすごいよなぁと感心してしまいました。

 

この作品は横溝正史原作なので内容が陰鬱になりがちですが、今回の公演ではあちらこちらに笑いが仕込まれていました。でもしっかり横溝作品の雰囲気はキープされていて、脚本の妙を感じました。

 

次は来年2月にちょっと変わった公演があるみたいなのでまた楽しみにしています。