kiyosatoの謎備忘録

探索が苦手な年配夫婦二人の謎備忘録です。

ミステリーが大好き、謎解きは周遊と宿泊謎が中心です。

廃園の鬼

廃園の鬼 作 横溝正史

参加日 :2019/3/17

制作  :回路R

開催場所:神楽坂 香音里(KO・O・RI)

この公演は横溝正史の「廃園の鬼」を原文のまま手を加える事無く朗読する朗読劇となります。

犯人が誰かなどのネタバレはありません。ぜひ「廃園の鬼」を読んでください。

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静養のために那須を訪れた金田一耕助は、「犬神家の一族」の事件でお馴染みの橘署長に、高原の名物である廃墟、通称化け物屋敷を案内される。

金田一耕助と同じホテルには、高柳教授夫妻と、教授婦人である加寿子の最初の夫で映画監督の伊吹雄三が偶然泊まりあわせていた。

そこに、加寿子の二番目の夫で新聞記者の都築弘が、何者かによって呼び寄せられる。

胸騒ぎの中、化け物屋敷の展望台で事件は起こった・・・

※公式フライヤーより引用

以前からとっても気になっていたミステリー専門劇団「回路R」さん。

前回の「イリスの十字架」を見に行こうか・・・とても悩んだのですが「ホラーサスペンス!?」の一文が見えてしまい行くのを止めてしまいました(ホラーが苦手なのです 汗)

 

しかし、今回はなんと!金田一耕助と!これは行く一択です。

小学生の頃に土曜日の22:00からやってた金田一耕助シリーズが大好きで、親に叱られながらも見ていたんですよね。

そう、アラフィフ世代は小さな頃から金田一耕助にどっぷりと浸っていた世代でもあるのです!(笑)

 

さて、回路Rさんは「横溝作品をやりたくて立ち上げた劇団」だそうで、10年前にも申請を出したけれども一切の音沙汰なし・・・昨年、編集・脚色一切なしの朗読劇で再申請を出して今年の2月にやっと許可が下りたそうです。

おめでとうございます!

やはり横溝正史の作品は色々と制約が厳しいのですね。

 

当日、開催場所の香音里さんに向かうと会場前にお団子のキッチンカーが・・・すごく良い匂いがしています。

何時までやっているのかお聞きして終演後でもOKと確認して会場に入ろうとしたら!!目の前に金田一耕助が立っていますΣ(゚Д゚)

思わず「金田一さんですよね?」確認してしまいました(笑)

開演前からテンションが上がりました!

 

会場は洋風と和風が混在した(ちょっと立派な)普通のお家です。

スリッパに履き替えて奥に進むとグランドピアノがドーンと置かれた部屋にイスが並べられていて自由に座って良いとの事でした。

 

今回の「廃園の鬼」は読んだことが無かったので、どんな話なんだろうとワクワクしながら開演を待っていると女性の方が現れてグランドピアノに座りました。

そしておもむろにピアノを弾き出し・・・!これは犬神家の一族のテーマ曲では!?

ここから、思いっきり横溝正史の世界に放り込まれて行きます。

 

金田一耕助がやってきました。

 

どうやらピアノを弾いていた方が橘署長のようです。そしてセリフ以外の部分は別の方が朗読されていました。

 

橘署長が金田一を高原の名物である廃墟、通称化け物屋敷に連れていき中を案内しています・・・凄い!抑揚のきいたセリフ回しだけで、目の前にその情景が浮かんできます。

一人二役の方もいましたが、まったく違和感がありません。ドンドン「廃園の鬼」の世界に引きずり込まれていきます。

 

話しが進むと同じホテルに宿泊している人達の複雑な人間関係が露になり、これはどう見ても大丈夫じゃないだろう・・・と思っていた矢先、川向こうの化け物屋敷の展望台で殺人事件が起きます。

ちょうどその時間にホテルのベランダに出ていた金田一、橘署長、その他ホテルに泊まっていた客は、その殺人を目撃する事になります。

金田一耕助と橘署長は急いで現場に向かい現場検証を行うと、色々おかしな点が見つかります。しかし、何故か金田一は今一つ煮え切らない態度を取り、挙句この事件は迷宮入りになってしまします。

 

事件から一年後

事件現場の化け物屋敷の展望台に佇む人物、その手には金田一から送られた手紙が握られています。

 

ここから金田一による手紙の朗読が始まります。

なぜあなたが犯人だと分かったのか、なぜあなたのアリバイが成立したのか、なぜこの事件を迷宮入りにしたのか、理由が述べられていきます・・・そう言う事だったんですね。

手紙最後の「金田一耕助」の署名の読み上げ、色々な感情がこもった「金田一耕助」でした。

そして、ピアノの演奏で朗読劇は終了です。

 

いやぁ~良かった!今まで朗読劇は何回か観たことがありますが、言葉だけでここまで情景を描かせてくれたのは回路Rさんが初めてです。

10年越しに叶えられた横溝正史原作の上演、その10年分の思いが込められた朗読劇でした。

 

次はちょっと違ったタイプの演劇が決まっているようなので、そちらも楽しみにしています。